モニタとプリンタの色合わせを極める |「PX-5500/PX-G5100」「huey」編
色合わせのチェックポイント
モニタのキャリブレーションをきちんと取ったり、アプリケーションの設定も行ったはずなのに色が合わない、といったことは良くあります。しかし、たった一カ所のミスでも色はおかしくなってしまいます。うまくいかない場合のチェックポイントを上げてみました。抜け落ちていた点はないか確認してみましょう。
プリント時のカラーマネージメント
設定はきちんとしているのに色が合わない、といったことはよく起こりがちです。
でも、本当に正しく設定出来ていますか? ここでは色合わせののチェックポイントを挙げてみました。
◆パソコン周辺の環境光は大丈夫?
◇モニタやプリントアウトを見る環境光には気を配っていますか? なるべくモニタで設定した色温度と照明の色温度を揃えるようにしましょう。蛍光灯の昼白色は色温度5000K程度、また昼光色は色温度6500K程度です。自然光も悪くはないのですが、時間や天候により変わってしまうので、きちんとマッチングを図りたい場合には向いていません。
また、環境光の明るさも大事です。プリントの紙白とモニタの白を比較した場合に、明るさの差がつきすぎていませんか? 手元が暗い場合には、手元を明るくする照明を使う。モニタが明るすぎる場合には、モニタの輝度を落とすなどして、なるべく明るさに差がつかないように調整しましょう。
◆カラーマネージメントに対応していますか?
◇お使いのアプリケーションはカラーマネージメントに対応していますか? カラーマネージメントに対応していないアプリケーションでは、色を正確に扱うことができません。そのためプロファイルが違っていても、すべて同じように扱われてしまいます。カラーマネージメントに対応しているか、対応していないかは、同じ画像に違うプロファイルを埋め込んでみたものを表示させることにより確認することができます。
きちんと違いが出ればカラーマネージメント対応。同じように表示されてしまえば、カラーマネージメント非対応ということです。
◆プロファイルは埋め込まれていますか?
◇画像ファイルにプロファイルが埋め込まれていないと、正しい表示やプリントアウトはできません。Photoshop Elements3.0でファイルを開く際に「プロファイルなし」のメッセージが出た場合には、撮影時に設定したプロファイル(AdobeRGBもしくはsRGB)を指定して開きましょう。「そのままにする(カラーマネージメントなし)」で開いてしまってもよくありません。
◆AdobeRGBで撮影したのに、色がくすんでしまう
◇AdobeRGBで撮影した画像はきちんとAdobeRGBとして取り扱わなければなりません。間違ってsRGBとして扱ったり、カラーマネージメントせずに扱かってしまうと、画面表示もプリントもくすんでしまいます。
◆画面表示よりも少し派手になってしまう。
◇sRGBの画像を間違えてAdobeRGBとして扱ってしまうと、ちょっと派手な色になってしまいます。きれいに見える場合もあるかもしれませんが、実際には不自然な色になってしまうので気をつけましょう。
◆sRGBじゃなくていいの?
◇従来はカラーマネージメントの知識が普及していなかったために、sRGBでの運用が奨められるケースが多くありました。しかし、「huey」やPhotoshop Elements3.0を利用した運用ではAdobeRGBの利用で何の問題も起きません。AdobeRGBで撮影したらAdobeRGB対応のモニタでないと意味がない、なんていうことはありません。モニタで再現できない色はごく自然に似た色に置き換えられるからです。
プロファイルを使った運用では、色の忠実な再現はできますが、より鮮やかになるといったことはありません。sRGBで撮影したデータはプリントでもsRGBの再現を越えることはありません。sRGBを越えた再現能力のあるプリンタの性能を活かすためにもAdobeRGBでの撮影をお薦めします。
◆プリントの色が、かなりおかしい
◇これは設定が間違っていることが考えられます。アプリケーション側で変換を行っているにもかかわらず、プリンタ側でも補正をしてしまうと色はおかしくなってしまいます。また、プリントダイアログの設定で、「用紙の種類」(印刷設定)は適切なものが選ばれているでしょうか。この設定も重要なポイントです。「EPSON写真用紙」と「EPSON写真用紙クリスピア」等は間違えやすいのでご注意下さい。
◆どうしてもきっちりと色が合わない
◇元々モニタとプリンタでの再現できる色の範囲の違いなどもあるので、完全には一致しません。モニタならではの明るく彩度の高い色は、プリントでは再現できません。あとはプリントしたものを基準として、試し焼きなどのテクニックを使い、イメージに合ったプリントを作り上げましょう。
◆「huey」を使っているのに、画面に反映されない
◇残念ながらパソコンによっては、モニタプロファイルの設定が画面に反映されない場合があります。ビデオカードのドライバがICCプロファイルを使った調整機能に対応していないことが原因ですが、ビデオカードメーカーのリファレンスドライバを利用したり、Omega Driversなどの利用により、動作するようになる場合もあります。
◆どんなモニタがいいですか?
◇モニタを評価する基準の一つには、ゲーム等の動画をストレスなく表示できるということがあります。しかし、静止画である写真の補正を行うのには不要の機能なので、階調の再現性が良く、広い色再現域を持つモニタを選ぶといいでしょう。また、見る角度により、かなり色が変わってしまう製品もあるので、「視野角の広い」ものがおすすめです。
接続に関してはDVIがお薦めです。DVIとはDigital Visual Interfaceの略で、コンピュータとモニタを接続するためのインターフェース規格の一つです。画像の情報をアナログ信号に変換せずデジタル信号のまま送ることができるので変換による信号の劣化がなくなります
リファレンスドライバ
ビデオカードに付属したドライバではなく、チップメーカーが公開している標準ドライバのこと。
Omega Drivers
速度よりも画質を優先して作られたビデオカード用ドライバ。ユーザーグループにより作られたフリーウェア。