2009/06/18

モニタとプリンタの色合わせを極める 第1章

モニタとプリンタの色合わせを極める |「PX-5500/PX-G5100」「huey」編
なぜ色が合わないんだろう?

と、問いかける前に、「色は合わなくて当たり前なんだ」という認識が重要です。
合わなくても当たり前だけど、効率良く色を合わせるための技術があります
それがカラーマネージメントです
この章では、カラーマネージメントの基本的な考え方を紹介します。
なぜ色が合わないんだろう?
写真の色調整を行う上で重要なのはモニタです。しかし、モニタの調整は行っていますか?
パソコンを買ってそのままの状態だと、モニタの色はみんなバラバラです。

 電気屋さんの店頭でテレビ画面を比較してみると、色がみんな異なることに気づきます。ある製品は鮮やかな色を売りにし、またある製品は自然さを売りにしていたりします。各メーカーがそれぞれの技術で製品化した結果、同じ番組を映してみても、それぞれ異なる色再現結果になるというわけです。
 これはパソコンモニタの場合も同様です。あるモニタは色再現域の広さを売りにし、また別のモニタでは色再現よりも動画の再生を重視したりしています。液晶パネル自体の違いなどもあり、メーカーにより、製品により、色再現が違うというのは、当たり前のことと言ってもいいでしょう。
 つまり、同じ写真画像を表示させたとしてもモニタが違えば、色は違って当たり前。モニタとプリンタの色が合わないという前に、モニタが色あわせに適していない状態だったということです。

モニタの色を正確に測定

 パソコンで扱う画像データというのは、通常「RGB」です。「Red(赤)」「Green(緑)」「Blue(青)」の光の三原色を組み合わせて色を表します。このRGBのデータをそのままモニタで表示させても、それぞれのモニタで、この三原色が違ったために表示される色も違ってしまったということです。
 何の調整もせずモニタに表示させたために、色が合わなかったので、それぞれのモニタに合わせ、RGBのデータをある一定の色再現になるように調整を行います。この調整により色合わせを行うのがカラーマネージメントの基本的な技術です。
 カラーマネージメントでは測定器を使って、個々のモニタやプリンタの色を測ります。そして、測定した結果を元にプロファイルというものを作り、それぞれのモニタやプリンタによる色の違いを吸収し、色合わせ=カラーマッチングを可能にするのです。
 プロファイルというのはプロフィール(横顔)のこと。個々のモニタの色の特徴が書いてあるファイルのことです。このファイルは正しい色をモニタに表示させたり、プリントアウトするために、非常に重要なものです。

カラーマネージメント
カラーマネージメントとは、モニタ、プリンタ、テレビ、インターネット等の異なるメディア間で色を正確に伝え、再現するための技術。様々なメーカーの機器の間での互換性を保つために、ICCプロファイルを利用する方法が現在普及している。ICCとはカラーマネージメントに関わる様々な取り決めをする団体のこと。
プロファイルの利用法
 プロファイルを使った正確な色のやりとりには、常に正しいプロファイルが二つ以上必要になってきます。それは「変換元」と「変換先」のプロファイルです。たとえば、ある画像の色を忠実にモニタ表示するためには、画像のプロファイル(変換元)とモニタプロファイル(変換先)を用意する必要があるということです。プリントアウトでの忠実再現のためには、変換先として、プリンタプロファイルが必要になります。
 これはカーナビに例えることができます。正確なルートを知るためには正確な現在地と目的地の入力が必須となります。これは変換元のプロファイルと変換先のプロファイルのようなもの。どちらも正確な場所を入力しなければ、正しいルートは導きだされてはきません。
 プロファイルを使わずに作業を行うのは、大雑把な地図を頼りに目的地にたどり着こうというのと同じこと。なかなか目的地にたどり着けずにウロウロしてしまうのは、思い通りの色が出せずに何枚も何枚もプリントアウトしてしまうことに似ています。自分のイメージした色のプリントを効率良く出力するためには、正しいプロファイルの設定が重要になってきます。

画像のプロファイル
 画像をモニタに正しく表示させるためには、画像のプロファイル(変換元)とモニタプロファイル(変換先)が必要になってきますが、画像のプロファイルとはいったい何のことでしょうか?
 これはデジタルカメラで撮影する際の「色空間」の設定のことです。従来はRGBデータに種類はありませんでしたが、正確に色を扱うために、きちんと原色や明るさを決めておこうというのが、色空間の考え方です。
 RGBの色空間には多くの種類がありますが、デジタルカメラの色空間の基本はsRGBとAdobeRGBです。sRGBは標準的なブラウン管タイプの色再現域を参考に作られた色空間で、現在一番普及しているものです。ただ、その後、モニタやプリンタで再現できる色の範囲は急速に広がり、sRGBという色空間は時代に合わなくなってしまいました。
 そこで、広い色再現域を持ったプリンタを使い作品作りを行う場合には、sRGBよりも広く、より広い色再現空間で記録が可能なAdobeRGBで撮影を行うことがお薦めです。AdobeRGBのデータの取り扱いには、ちょっとしたコツが必要ですが、覚えてしまえば何の問題もありません。狭い色空間で撮影して、ない色を後から出そうとするよりも、初めから広い色空間で記録を行ったほうが、自然な再現が可能になります。
 デジタルカメラで撮影した画像の色というのは、フィルムでの撮影に比べて「いい加減」というイメージもありますが、色空間が決まっている限り、けっしていい加減なものではありません。元データはいい加減ではないのに、モニタやプリンタに出力する方法に問題があったために、色が違って見えてしまうのです。
 カラーマネージメントの仕組みを覚えて、データに忠実な再現を行いましょう。