2009/06/18

モニタとプリンタの色合わせを極める 第3章

モニタとプリンタの色合わせを極める |「PX-5500/PX-G5100」「huey」編
プリントの忠実再現

通常プリンタというのは、ユーザーにとって 「いい色」「好ましい色」に再現されるように開発されています。
しかし、モニタ表示を元に補正を行い、モニタの色と合ったプリントを行うためには 初期設定とは違ったプリント方法が必要になってきます。
通常のプリントと比べて一手間かかりますが、ぜひ忠実再現の方法をマスターしましょう。
プリント時のカラーマネージメント
自分のイメージに合ったプリントを得るためにはカラーマネージメントが重要です
どのようにプロファイルの設定をすればいいのか、しっかり把握しましょう
プリンタプロファイルが重要
 プリント時のカラーマネージメントというのも、基本的な理屈はモニタ表示の場合と同じです。画像データを利用するプリンタに合わせて調整してからプリントすればいいのです。正しいプロファイルの設定さえ出来れば、調整自体は自動的に行われます。
 モニタ表示の場合に重要だったのが、画像ファイルの埋め込みプロファイル(AdobeRGB or sRGB)とモニタプロファイルであったのと同様、プリンタでの忠実再現の場合も画像プロファイルとプリンタプロファイルが重要になってきます。
 プリンタプロファイルというのは個々のプリンタの用紙別のプロファイルのことです。あるプリンタで写真用の用紙を使ってプリントアウトした場合に、どんな色再現になるのか? といった情報の入ったファイルのことです。このプロファイルを使って個々の用紙に合わせた変換をかけることにより、画像の色の忠実な再現が可能になるのです。
 本来、プリンタプロファイルというのは、個々のプリンタからカラーチャートを出力し、そのチャートの色を測定器で測ることにより、作成すべきものです。ただし、精度の高いプリンタプロファイルを作成するには、それなりの測定器(高価)を用意する必要があり、またプロファイルを調整するための知識なども要求されます。
 そこで、ここでは機種ごと、用紙ごとに用意されたメーカー純正のプロファイルの利用をおすすめします。メリットは無料で入手できること。デメリットはプリンタの個体差が反映されていないので、専用に作成したプロファイルと比べて精度が落ちることです。とは言うものの、きちんと設定を行えば、それなりのマッチングは可能になってきます。微調整はプロファイルではなく、Photoshop Elements3.0で行えば充分実用的な運用ができるでしょう。

アプリケーションでの設定法
 ここでお薦めしたいカラーマネージメントの技術を使った忠実再現の方法は、アプリケーション側で変換をかけ、プリンタ側では何もせずにそのまま出力するやり方です。

◇画像ファイルを開く
 Photoshop Elements3.0を使い画像ファイルを開きます。「プロファイルなし」のメッセージが出た場合には、撮影時に設定したプロファイル(AdobeRGB or sRGB)を指定して開きます。これで、変換元の正しいプロファイルが指定できます。

◇プリントの設定
 ファイルメニューから「プリント」を選択します。すると「プリントプレビュー」のダイアログが開きます。さらにウインドウ左下の「その他のオプションを表示」にチェックを入れることにより、細かい設定ができるようになります。

◇アプリケーション側のカラーマネージメント設定
「その他のオプションを表示」にチェックを入れることにより現れたカラーマネージメントの設定を行います。ソースカラースペースというのは変換元のプロファイルのことで、埋め込みプロファイルが反映されます。そしてプリントカラースペースというのが、個々のプリンタの用紙別のプロファイルを設定するところで、たとえば、PX-G5100で「写真用紙クリスピア〈高光沢〉を使う場合であれば、「PX-G5100 UPGP」※というプロファイルを設定します。
※プロファイルの表示名はこちらをご覧下さい。

以上の設定によってPhotoshop Elements3.0側でプリンタの色再現に合わせたカラーマネージメントによる変換を行ったデータをプリンタ側へと送ることになります。
プリンタ側での設定法
 Photoshop Elements3.0での設定が終わり「プリント」をクリックすると、今度はプリンタドライバの設定画面である「印刷」ダイアログが開きます。アプリケーション側ですでに個々のプリンタ用に最適化が済んでいるので、プリンタ側では、何もいじらない設定にします。「カラー設定」の「色補正なし」を選択しましょう。
 ここで、例えば、プリンタドライバで「オートフォトファイン」や「自然な色あい」などの自動的に色の調整をしてくれるカラー設定を選択していると、すでにアプリケーション側で色の調整が済んだデータなので、二重の補正となり、色がおかしくなってしまいます。エプソン独自の色の最適化技術により、お任せで「色を良くする」設定は、非常に便利な方法ですが、自分で色にこだわってプリントをしたい場合には、切ってしまった方がいいでしょう。Photoshop Elements3.0を使って自分のイメージ通りに色調整したデータに関しては、さらに「色を良くする」必要はないからです。

アプリケーションのプリントダイアログでOKをクリックすると現れる印刷の設定。ここでは「プロパティ」をクリックする。
「プロパティ」画面。「モード設定」の「詳細設定」にチェックを入れ、「設定変更」のボタンを押す。
すでにアプリケーション側で変換済みのデータなので、ここでは「色補正なし」を選択する。

プリンタドライバのマニュアル色補正である「EPSON基準色(sRGB)」/「Adobe RGB」でもそれぞれのカラースペースに対し、カラーマッチングされた画像を得ることができるが、ここではソースカラースペースとプリンタカラースペースを確認しながら、確実に作業が行えるICCプロファイルを用いた出力方法を紹介している。また、この設定はカラーマネジメント機能(ICCプロファイル)をサポートするPhotoshop等のアプリケーションに対して有効であり、カラーマネジメントをサポートしないアプリケーションでは「色補正なし」ではなく、マニュアル色補正を選択するのがよい。
マッチング方法とは?
 Photoshop Elements3.0のプリント設定では、右下に「マッチング方法」という設定項目があります。これは個々のプリンタに合わせてデータの変換を行う際の、変換方法の種類のことです。画像データ上の色をプリントに再現する場合、プリントでは再現できない色もあります。その場合は別の似た色に置き換えなければなりませんが、置き換え方は色々あるので、その方法をあらかじめ決めておくということです。
 たとえばある目的地に車で行くという場合に、最短時間でいく方法、最短距離で行く方法、高速道路を利用する場合などでルートは変わってきます。それと同様に、彩度を優先にするとか、明度を優先にするとかで、色の置き換え方にも種類があるということです。
 マッチング方法には「相対的な色域を維持」「知覚的」「彩度」「絶対的な色域を維持」の四つの種類があります。この中で「写真画像を自分のイメージ通りにプリントする」という目的で考えた場合、「相対的な色域を維持」と「知覚的」に限定してしまっていいでしょう。では、その二つの違いはどんなものでしょうか? 
Epson純正プロファイルの場合は

◇知覚的 : 主観的にモニタ色が自然に再現された写真がプリントされる

◇相対的な色域を維持 : 理論的な色彩値が反映された写真がプリントされ、可能な範囲でマッチングが図られる

ただし、モニタとプリンタでは表現できる色範囲が異なるので、「相対的な色域を 維持」だとしても、常にモニタマッチングするわけではありません。とりあえず、 デフォルトの状態で運用してみて、慣れてきたら切り替えてみて、その違いを確認 した上で好みの方を選択するのがよいでしょう。
プリンタプロファイルの入手法
 プリンタプロファイルはこちらよりダウンロード可能です。またPX-G5100/PX-5500の場合で、Windows2000/XP、もしくはMacintoshを利用の場合は、最新のプリンタドライバをインストールする際、プロファイルも同時にインストールされます。またWindows98SE/Meを利用の場合は、プリンタに同梱されているソフトウェアCD-ROMよりプロファイルのインストールが可能です。
プリンタプロファイルの入手法
 アプリケーションでプロファイルを設定する際に使う用紙の名称と、対応するプロファイルの表示名の関係は以下の通りです。
◆PX-G5100 プロファイル名
対応用紙 プロファイル表示名 備考
EPSON 画材用紙/顔料専用 PX-G5100 MCRW
EPSON 写真用紙 PX-G5100 PGPP
EPSON フォトマット紙 PX-G5100 PMAT
EPSON スーパーファイン紙 PX-G5100 SF
写真用紙クリスピア<高光沢> PX-G5100 UPGP
UltraSmooth Fine Art Paper PX-G5100 USFAP
Velvet Fine Art Paper PX-G5100 VFAP
◆PX-5500 プロファイル名
対応用紙 プロファイル表示名 備考
EPSON フォトマット紙/顔料専用 PX-5500 MattePaperPigment マットブラックインク使用時
PX-5500 MattePaperPigment_PK フォトブラックインク使用時
EPSON 写真用紙 PX-5500 Photo Paper(G)
EPSON 写真用紙<絹目調> PX-5500 Photo Paper(SG)
PXプルーフ用紙<微光沢> PX-5500 PX Proof(SM)
EPSON スーパーファイン紙 PX-5500 Super Fine Paper マットブラックインク使用時
PX-5500 Super Fine Paper_PK フォトブラックインク使用時
UltraSmooth Fine Art Paper PX-5500 USmoothFineArt
Velvet Fine Art Paper PX-5500 Velvet Fine Art
EPSON 画材用紙/顔料専用 PX-5500 WCPaper Pigment
写真用紙クリスピア<高光沢> PX-5500 Photo Crispia
PX-5500が写真用紙クリスピア<高光沢>に対応しました。
⇒詳しくはこちら ⇒プリンタドライバダウンロードはこちら